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ジャミル(ヤーサミーナシルク)のパーソナルストーリーについて思ったこと

 

この記事は自分の中で感想や考察などを整理するための雑記であり、他の方の考えを否定するものでは決してないことを何卒ご承知おきくださいませ。。m(__)m

また、この記事にはヤーサミーナシルクSSRジャミルのパーソナルストーリーネタバレが大量に含まれています!

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©︎Disney.  Published by Aniplex

 

 

1.ちょこっとカード性能の話し

前置き代わりに、カードの性能の話しをちょこっとします。興味がない場合はすみません、この項を飛ばしてくださいね!

これまでのプレイアブルキャラクターとしてのジャミルですが、SSR寮服はアタックタイプであるにも関わらず火力は控えめ。事実上の上位互換であるSSRおめかしバースデーは火力こそ高いものの、水属性デュオ魔法持ちで対火属性試験で大活躍かと思いきや自身の属性の片方が木属性なので弱点を突かれてしまうという……今ひとつ痒いところに手が届かない、ちょっと中途半端な性能でした。

しかし! 今回実装されたSSRヤーサミーナシルクは全実装キャラ中トップのHPを誇り、水の単属性、もちろん水属性デュオ魔法持ち、おまけでダメージDOWNもありと……対火属性のディフェンス試験において文句なしの環境トップ

これまで性能的にすごく恵まれているとは言えなかったジャミルですが、ようやく良い性能のカードをもらえたなというのがひとまずの所感です。

 

2.パーソナルストーリーについて思ったこと

色々ありすぎたので、順を追ってみていこうと思います。
なかには批判的な言い回しがあるかも分かりませんが、あくまで当ブログが勝手にそう思っているというだけの純粋な考察としてであり、作品やキャラクターを貶めたり、他の方の考えを否定するものでは決してないことをご承知おきくださいませ。。

 


本音だだ漏れの各寮お土産アドバイス

オクタヴィネル

個人的には、特にオクタヴィネルへの言及が面白かったです。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

利害が一致した時こそ頼もしいが基本はヤ◯ザであるというのがヴィランズとしてのオクタヴィネルのコンセプトですから、これは彼らのしたたかさに対する最高の褒め言葉でしょう!
『見ぐるみを剥がされる前に〜』という言い回しも辛辣ながらどこか可笑しく、常に何かを企んでいそうなアズール・ジェイド・フロイドの胡散臭さ(※褒め言葉)をよく捉えていますね!

 

イグニハイド

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©︎Disney.  Published by Aniplex

よくよく考えると失礼なこと言ってるというか、あそこは陰キャが多いからきっと旅行とかほぼ行かない奴ばかりだろう……とか言わずに『あそこの寮生の大半はインドア派だからな。異国の地の品は物珍しく感じるだろう』とやんわり言ってくれるところに優しさを感じます。ちなみにブログ主は旅行にほぼ行きません。だって知らない場所怖いし……(陰キャ

 


手癖の悪い… ←お前もじゃねえかw

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©︎Disney.  Published by Aniplex

他人の手癖の悪さを揶揄する前置きから、ジャミル自身も実は手癖が悪かった……という特大ブーメラン! このキレキレの自虐ネタ、さすがです。

4章をプレイした時も思いましたが、ジャミルは苦労人な背景設定があったりクールな外見と性格をしているわりに、ちょっとネタ枠入ってるあたりが絶妙ですね。私はこのキャラ非常に好きです!

少年時代のジャミルがアジーム家の屋敷で相当抑圧された生活を送っていたことは既に4章で描かれていました。そんな生活の中、つい友達と一緒になって盗みをやってしまって、あとになってヤベーと思ってこっそりお金を返しにくるなんて、なんともいじらしい話しじゃありませんか。しかもノートの切れっ端に代金を包んで店先に置いていく……盗みがバレてアジーム家の耳に入ったら死活問題だがお金は返したいという、まさに苦肉の策。当時の彼なりの葛藤や子どもらしい小賢しさが滲み出ているようで、かなり好きなエピソードです。

しかも『あの日は手持ちがなかっただけで』などと先輩たちのまえで一生けんめい取り繕おうとすればするほど、詳細をどんどんバラされてしまう。笑

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©︎Disney.  Published by Aniplex

もちろん現代の我々の世間常識でいったらこれは万引き行為であり、れっきとした犯罪です。一方で、とくに創作上のファンタジー世界において子どもがイタズラの延長で果物など比較的安価なもの(まあメロンって高価な果物だけど…)を盗むのは典型的な「悪ガキ」ムーブといえるもので、文脈的にそこまでシリアスな捉え方をしなくてもよさそうという印象でした。だいたいはバレてゲンコツをもらったり罰として掃除をさせられたりするのがお決まりですが、このジャミルのエピソードではあとでお金を返すことで帳尻を合わせていますね。

実家の目の届かないNRCにいてもオール5の無難な人物を演じ続けていたジャミルですから、ミドルスクールの友人たちと過ごした時間が彼にとってどれほど特別なものだったかは想像にかたくありません。

ただ、ここで二つばかり問題が……。
一つ目はこのパーソナルストーリー全体の構成のマズさ、二つ目は4章シナリオの説得力への影響です。

 

一つ目。 構成のマズさ

これが例えば、他人の手癖の悪さを引き合いに出した直後にジャミルが店先のメロンをくすねたエピソードが暴露されるなら、ジャミル自身にブーメランということでオチを付けているんだなというのが分かりやすかったのですが……。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

ユーザー側としたら、まずいきなり『手癖の悪いハイエナが…』という台詞を見せられて、えっなんでいきなりラギー(だよな…?)のディスり入ってんだ…?となり、直後に『紅茶店の店主』や『織物屋の店主』との会話を見て、それから2話でようやく『果物店の店主』との会話でジャミルの盗みエピソードが語られ「……ああ、ブーメランてことね!」と腑に落ちる流れになります。というか私がそうでした。

なにが言いたいかというと、これがジャミルへのブーメランを意図した自虐シナリオであることに気付かなかった場合、単にジャミルが他キャラの悪口言ってた、で終わってしまう可能性が……。正直、あまり親切な構成とは言えません。

前振りとオチが1話と2話で分かれてしまっているうえ、オチにたどり着くまでの間に別なエピソードを挟んでしまっているので、脚本の意図が分かりにくいんですよね……。トレイ先輩やマレウス先輩からジャミルに対して「お前も人のことは言えなかったようだな?」というようなツッコミもないし。(思うに、マレウスではなくレオナが同行するシナリオだったなら問題なかった気がする…あれだと本人たちがいないところでディスってるみたいになっちゃうので…。登場キャラはあらかじめ決まってる中での脚本作りだろうから言っても仕方ないけど)

前の会話と結びつけて解釈しながら読んでくれるユーザーばかりではないですから、無意味な他キャラクターへのサゲ発言と受け取られかねない内容については特に慎重に扱ってほしいなと思いました。

 


二つ目。 第4章「ドッカーン!!!!」展開の説得力に影響は…?

ジャミルは家柄と両親の立場を盾にあらゆる自己表現を制約され、常にカリムに譲って生きてきました。ついにその抑圧に耐えきれなくなった彼はなんやかんやあってドッカーン!! してしまいます。約17年ものあいだ溜まりに溜まったフラストレーションを爆発させるわけですから、ジャミルの少年時代が抑圧されていればいるほど、そりゃドッカーンしても仕方ないか……と直感的に説得力を感じやすく共感もしやすいことは確かです。

考えようによっては、ミドルスクール時代のジャミルが『悪たれ』でありスクール生活を楽しんでいたような描写は、かえって悪手になる可能性があります。後付けのパーソナルストーリーではけ口のようなものをなまじ与えてしまったばかりに、ジャミルが抑圧に耐えきれずドッカーンしてしまう4章の展開への説得力が、直感的には低下しているようにも受け取れるのです。

とはいえ、あの4章のブチギレ展開はカリムに一生譲って生きていかなければならないこと・逃れられない家柄の宿命に対するドッカーンなので、(抑圧のはけ口として)盗みを働いたり友達と『街に出て馬鹿やったり』していたことは、論点が異なる問題ではあります。外で多少のはけ口があろうと無かろうとアジーム家でのジャミルの境遇は同じであり、おそらく4章の流れは変わらないからです。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

外で過ごす時間がどれだけ楽しく、ジャミルが『悪たれ』として振る舞っていたのだとしても、彼は家に帰れば毎日思い知らされるはめになる。自由の味を知ってしまったからこそ、本当の自由をより渇望するようになり、カリムに反旗を翻した4章の流れに繋がったと受け取ることもできます。(脚本がそこまで意図しているかは分からないけど、解釈の一つとして)

加えて、ジャミルは結局あとからお金を返しに行っており、多かれ少なかれ罪悪感を感じて火消しをしに行っているんですよね。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

リアルな話し、盗みが彼にとって本当にはけ口になっていたなら普通はもっとエスカレートしていくものなのですが、ストーリーを読んだ限り盗んだ分のお金は全て返してあり再犯もなかったようです。だからこそ果物店の店主のおやっさんも後腐れなくカラッとした態度で今でもジャミルをかわいがっているとも取れますね!

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©︎Disney.  Published by Aniplex

ジャミルの少年時代が抑圧された暗い思い出ばかりのものでは決してなかったことが明かされたので、そこの部分に救いを感じたユーザーも多いと思います。

この調子で、今度はカリムとの思い出やカリム視点からの掘り下げエピソードもぜひ見てみたいです!

 


3.実写版アラジンへのオマージュについて

ぶっちゃけ言うと正直な話し。ツイステのシナリオ内においては、映画アラジンからインスパイアされた存在である以前に “ ジャミル ” という一人のキャラクターである彼にとって、ミドルスクール時代に盗みを働いたというエピソードは絶対に必要なのか? 答えはノーだと私は思っています。

まず『盗み』である必要がないです。ふざけて運河に落ちたとか、めちゃくちゃな値切り方をして店をつまみ出されたとか、他にいくらでも『普段の(現在のジャミルの)姿からは想像もつかない』エピソードは作れます。

しかし、元ネタへのオマージュという視点を持たずにこの盗みのエピソードを必要ないと言ってしまうのはあまりに強引でしょう。

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©︎Disney

2019年に公開された実写版アラジンにおいて、ジャミルの元ネタであるジャファーは元々の出自は盗っ人(スリ)だったという設定になっています。その盗みの腕前は、盗みの常習犯であるアラジンが持ち物をスられても気付かなかったほど。

ヤーサミーナシルクのパーソナルストーリーで少年時代のジャミルが盗みを働いたという話しが出てくるのは、おそらくこの実写版アラジンのジャファーへのオマージュでしょう。逆にそうでなければ、なぜ店のものを万引きしたなんて賛否の割れそうな話しがいきなり出てくるのか、ちょっと唐突ぎみ。とはいえ、これがもし本当に実写版アラジンへのオマージュだとしたらジャミル少年はメロンではなく『リンゴ』を盗むべきなので、もっと細かい別なネタに対するオマージュも含んでいるか(ジャスミンウォーターメロンを盗むエピソード『Do the Rat Thing』とか)、脚本の意図としてはオマージュのつもりではない可能性ももちろんあると思います。これらはあくまで推測です。

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©︎Disney

この実写版でのジャファーは『リンゴを盗めばコソ泥 国を盗めば支配者だ』という野心を胸に国務大臣にまで上り詰めた偉大な悪党です。二番手を嫌悪する彼が『一番』の存在を目指して国王サルタンやアラジンらを追い詰める様、その執念は、自由を求め『一番』になるためカリムから寮長の座を奪おうとしたジャミルの姿と容易に重ね合わせることができます。その膨れ上がった野心ゆえにどこか  “ 小悪党 ”  風でもあり、最後は自滅してボロを出す流れまで全く同じ(原作アラジンでもこの流れは同じ)。オマージュを盛り込むのはツイステのお作法であり、あくまで元ネタからインスパイアされた存在であるキャラクターにとっては宿命であるとも言えます。

これは今回のジャミルに限った話しではないのですが、私がおや? と思うのは、まずキャラクターに共感させるという本来の目的よりも、オマージュそのものが目的になっている……? ように見えることなのです。(そもそもツイステはオマージュありきの作品だと言われたら黙るしかない)

ジャミルが「盗み」を働いたエピソードはかなり唐突に語られます。動機の説明も、彼がアジーム家の屋敷でどれほど抑圧され万引きに手を出してしまうほどはけ口が無かったかを匂わせる描写なども、一切ない。ただ笑い話としての「悪ガキ」ムーブがなんの前触れもなしに登場します。そこの部分に違和感を持ってしまうと、このエピソードはやや共感しづらくなってしまうかもしれません。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

ジャミルの賢さや性格を考えれば、もし盗みがバレたら最悪アジームの顔に泥を塗る結果になることくらい分かるはず。たとえ子どもの頃の話しだとしてもそんなリスクを一時の楽しみのために犯すような思慮の浅いキャラクターではなかったはずです。キャラクターを魅力的に見せるためにオマージュを工夫するのではなく、オマージュをやりたいがためにキャラクターを元ネタに寄せに行ってしまっている。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

あまつさえ、そのオマージュの前振りのためにわざわざラギーを名指しで引き合いに出して手癖の悪さを指摘、そんなことをしたらラギーのファンが快く思わないことは目に見えていたと思います。そのヘイトがどこに向くかといったら、多分、そのセリフを喋ったジャミルに対してなんですよね……。SNSで少し荒れていたのはその辺りも原因の一つなのかな…?というのが個人的な所感でした。

 

 


4.まとめ

いろいろ書いてしまったのですが、ヤーサミーナシルクのパーソナルストーリーは実に微笑ましいやり取りが多く、キャラクターの意外な一面を知ることができる素敵な内容に仕上がっていると思います。
いちユーザーの身で多くを望むことが許されるなら、盛り込みたいオマージュと、キャラクター自身に共感しやすく分かりやすい内容であるかどうかのバランスが大切にされることを願っています。

 

おわり

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