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ジャミルってそこまでボコボコに殴り返される必要あったんか?ツイステ4章 感想と考察

 

この記事には、ツイステッドワンダーランド第2章、3章、4章、5章のネタバレが大量に含まれています!

 

あくまで当ブログが勝手にそう思っているというだけの純粋な考察としてであり、作品やキャラクターを貶めたり、他の方の考えを否定するものでは決してないことをご承知おきくださいませ。。m(__)m

本稿では、個々のキャラクター(カード)のパーソナルストーリーを読んでいるかどうかで若干感じ方が変わると思われる箇所についてはあえて省き、その章のシナリオ単体でのレビュー・考察を記載しています。このゲームの仕様上、カードを引けていなければパーソナルストーリーを見ることはできず、その収集具合は個々のユーザーによって異なるためです。

 

 


ざっくり所感と前おき

 

かなり話題になってるな〜と前々から気になっていたアプリゲーム「ツイステッドワンダーランド」……4章までメインストーリークリアしました!

ディズニー作品に登場する悪役キャラクターたち(ヴィランズ)って基本的に作品内では嫌われ役の敵キャラなのですが、本作では彼らをあくまでヴィランズ側の視点から好意的に解釈しつつ、それらを象徴するようなオリジナルのキャラクターを使ってストーリーを展開させます。それが妙に楽しく、可笑しくもあり、不思議なカタルシスがあるんです。あとリズミックの音楽めっちゃ良いです。

以下、メインストーリーを4章までクリアしてみての、めちゃくちゃ個人的な偏った感想です。

 

 

ジャミルってそこまで  " 殴り返され "  る必要あったんか…?

 

4章のゴタゴタは、言ってしまえばジーム家のお家騒動の延長であり、はたから見れば、寮長の座をめぐる生徒同士のマウント対決です。ただ「決闘」という分かりやすい形をとらずカリムがぼーっとしているので一方的に殴られていたという話し。

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©︎Disney.  Published by Aniplex

 

卑劣な黒幕であり、同情されるべき被害者でもあるジャミル

たしかに、率先して自分たちが手を汚したサバナクローやオクタヴィネルとは違って、今回の黒幕ジャミルの場合は自分の手を直接汚さずに他人を陥れようとしていたところがマジでめちゃ汚い。しかもカリムが一方的に寄せていた信頼を一方的に裏切っています。

しかしジャミルは無関係の他人に危害を加えてはいない(主人公とグリムは巻き込まれ、オクタヴィネルの3人組は自分から首を突っ込んだが)、あくまでカリムやアジーム家に逆らわない形で、寮長であり自分の主人であるカリムだけを学園から追い出そうとしていたわけです。スカラビアの寮生たちはまあ…酷いとばっちりですけどね。

しかもよくよく話しを聞いてみると、ジャミルは幼少時代から主従関係と両親の立場を盾にあらゆる行動・自己表現を制約され、人権侵害レベルの抑圧を受けてきた、見方によっては被害者でもあるんですよね。だからといって他人を陥れるような姑息な真似が正当化されるわけはないんですが、ただ酷いことをした、だからジャミルは悪いヤツだ、のような単純な話しで済まされていいものではないはずです。

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……で、最新章である4章をクリアしてみてちょっとだけ思ったのが、タイトルにある通り……

ジャミルってそこまでボコボコに  " 殴り返され "  る必要あったんか…?

っていうことなんです。

カリムを学園から追い出そうとしたジャミルのやり方は確かに卑劣で、バレたら人間性を疑われるレベルだと思います。しかし今まで彼がカリムのフォローをし、影でスカラビアを支えてきたことに変わりはないわけですよね…?

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このジャミルというキャラクターを、同情の余地もない絶対悪の最低野郎として描きたいなら分かる。でも、そうでないなら、悪事を暴いて全世界にリアルタイムライブ配信なんて取り返しのつかないこと、少女マンガとかで主人公をイジメ倒してくる陰湿で性格のねじ曲がったクソ野郎の鼻を明かしてスカッとする時とかしかやっちゃダメなやつだろ……。

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ぶっちゃけ言うと当ブログはアズールと双子のリーチ兄弟推しでオクタヴィネル推しなんですが、ただ自分の境遇が嫌すぎて主人を追っ払いたかっただけの小悪党(←少しだけネタバレ読んで事前に知ってました)を3人がかりでふくろ叩きにしてドヤッみたいな展開は、見ていてあんまり気持ちの良いものではなかったです…(言い換えれば、3人がかりでないと尻尾をつかめなかった、ジャミル1人でオクタヴィネルの3人とやり合えるくらいには彼が狡猾で有能であることの証左なんですが…)

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『ドッカーーーーーーーーン!!!』とかも、今までが抑圧されていた分はっちゃけているのは表現として分かるんですが、ネタの仕込み方としては仕事が大雑把で、流れもやや唐突です。キャラクターのための表現というよりは元ネタの映画「アラジン」から歌詞やセリフを引用することが目的になってしまっている印象でした。てか…………

まだ “ネタ” に走る段階じゃなくね…???

いや、ドッカーンそれ自体はいいと思うんです!ジャミルみたいな見るからにキツそうな見た目で性格もクールなキャラがいきなりガチギレしてドッカーン!!!!ナイッシューーッ!!!とか言い出したらそれだけでウケるし人気もうなぎ登りでしょう。でも、今じゃなくね??!オーバーブロットはキャラクターにとってここ一番の見せ場であって、一連のシーンは追い詰められたジャミルが約17年ものあいだ溜め込んできたフラストレーションを発露させる重要なくだりです。本来、ネタに走ってはいけないシーンでは…?

脚本としては、重い空気になりすぎるのを避けたい意図があったのかもしれないし、1〜3章は順当に王道の流れでやってきたのでここらで少し捻ってアクセントを付けようと思ったのかもしれません。でもそのキャラにとって、メインの章は一度きり。そこでネタに走られたキャラはどうしたらいいんでしょうか。私がジョークを理解できない、冗談が通じなさすぎるだけですか…?

 

とばっちりでディスられたカリム

一方で、カリムに対するこの描かれ方も、「えっこの流れってオレが悪いの?」とプレイヤー側でさえ思ってしまうくらい、やや唐突でした。

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ジャミルだってリドルやレオナと同じで境遇が恵まれなかったがゆえに過ちを犯し、寮生たちを振り回した。カリムだってそこまで言われるほどの天然イヤミ野郎でもない(というか今回の事件だけで言ったら一番の被害者)。ただ生まれついての家柄という本人たちにはどうしようもない要素が彼らの関係をこじれにこじれさせ、どうしようもない状況を生み出してしまった。なのに、なぜか周囲のキャラクターから、それも当事者ですらない奴らから、チクチクチクチク、ディスられ続ける。じゃあ寮内の仲間同士では結束できているのかというと致命的に仲間割れしている。しかもスッキリ回収されない。結果、カリムにも、ジャミルにも、どちらにも寄り添いにくい、全体的になんともモヤモヤとしたストーリーになってしまっているんです。

 

煮え切らない主従関係

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一応最後は丸く収まって、スカラビアの寮生たちとはわだかまりなく済み(?)最後は一緒に踊ったりして楽しく騒いでいます。しかし、ジャミルが吹っ切れて(というか開き直って)ネコ被りをやめたとしても、このあとカリムとの関係が多少良くなったとしても、そもそもの根源的な問題はなにも解決していません

すでにジャミルの裏切りとその失敗は世界中に向けてライブ配信され、“ 公衆の面前で部下に裏切られたカリムのメンツ ”  や  “ ジャミル個人の信用や名誉 ”  は取り返しがつかないほど傷付けられてしまったうえ、彼らの家柄や主従関係の問題が消えて無くなったわけでもないですよね。ジャミルが言うには主人であるカリムに盾つけば最悪、一家全員路頭に迷うまであるような話しでしたが、その件はどうなるんでしょう?

ここまで大がかりな仕掛けをやってしまって、その後フォローできるんでしょうか…?

このあとのジャミルの立場(スカラビア寮内とアジーム家どっちも)とか、マジフト大会も期末テストも順位が奮わずで内輪揉めしている場合ではないのに寮のNo.2から手酷い裏切りにあったスカラビア寮長としてのカリムのメンツとか、親友(と一方的に思っていた人物)からの裏切りによる心のダメージはないのかとか、あらゆることがうやむやのまま4章は終了……まず作品のストーリー展開が彼らを守らずに誰が守ってくれるんですか…?

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他寮の生徒や学園全体を巻き込んで暴れていたサバナクローやオクタヴィネルとは違い、この4章で繰り広げられた問題は結局スカラビアの内輪揉めであって、わざわざ全世界に晒すまでやらずに寮内・学園内だけで解決することだってできたはず。これは『世界中に向けて明かされちまった秘密なんて、弱みでもなんでもないだろ』というこの章のオチに結び付けるためにストーリーがそうなっている感が否めず、作りとしてはやはり大味です。この演出によってジャミル心理的な呪縛から解放されたことを示唆しているのだとしても、ゲームをプレイしている側の印象として、後味は決して良くないです。

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『お前は、ひ、ひどいヤツだ……だけど、やっぱりずっとオレを助けてくれてたのも、お前なんだ』

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いや……だから、ジャミルの方からしたらひどいのはカリムの無自覚な傲慢さだって話しだと思うんですが、もちろんそれは逆恨みに近いものでカリムは本来悪くない(境遇が悪すぎて素直な性格がアダになった)ところも含め、この二人のすれ違いは根が深そうなのでその場で仲直りして全て一件落着!とはならないのはむしろ好感を持ちました。仲直りの良い雰囲気…と見せかけて「絶対にお断りだ!」「ええー?!」っていう流れをやりたいのも分かります。

しかしせめて、せめてこのジャミルは抑圧された境遇ゆえに酷いことをしたが、今までずっとカリムを、そしてスカラビアを支えて助けてくれていたのもジャミルだ」そして「カリムはどこまで行っても人を信じたい、彼はやっぱりいい奴だ」という部分についてはスカラビア寮生たちにも同意してもらって、いったんは感情の落としどころをきちんと見つけて、仲間内だけでもわだかまりなく終わってくれたらよかったのに…と率直に思いました。

(ただ、オクタヴィネルの3人組については人助けをしようなどという気は毛頭無かったと思うので、こいつらは利害が一致した時こそ頼もしいが基本はマジで害悪だというヴィランズとしてのコンセプトが分かりやすく、オクタヴィネル視点で非常に良いストーリーであると思います。)

 

ストーリー展開によってある程度は守られてきた、これまでのキャラクターたち

 

サバナクロー寮の場合

サバナクロー寮は無関係の一般人を  “ 故意に ”  巻き込んで、大量の怪我人やヘタしたら死人すら出しかねないような危険な妨害工作をマレウスに仕掛けました。それ以前にも寮ぐるみで、まともに試合に出場できなくなるほどの怪我を何人かの選手に負わせて(ラギーいわく、潰して)います。

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あわやその妨害工作の事実を生中継で公表され、マジフト大会失格、初戦どころか試合に出ずして敗退まであったところを、結局その悪事は世間に公表されることもなく済んでマジフト大会にも出場しました。この寛大な措置は、サバナクロー寮の妨害工作によって被害を受けた生徒たちからの嘆願によるものです。

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そしてその被害者の生徒たちから大会中に散々やり返されて首謀者のレオナや実行犯のラギーは仲良く保健室送りになり、イーブンの形にすることで、わだかまりを残さず彼らの名誉に致命的な傷は付けずに収めました。

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被害者の生徒たちから相応に殴り返されてヨレヨレになりながらもディアソムニア寮と対決したという運びから、少なくとも何試合かは勝ち進んでいたことが示唆されており、去年おととしの「初戦敗退」という不名誉もある程度は挽回されたことが分かります。(『寮長は無能の烙印を押され…』の部分に関しては具体的なフォローがなく、気になるところではあります。マジフト大会も期末テストも両方順位が振るわなかったとかいうスカラビアの寮長にはいったいどんな烙印が押されているのか…あまり考えたくないですね…)

そして、最後に登場した甥っ子くん(いずれ実家で一番偉くなる人物)にレオナが『めちゃくちゃ懐かれてる』ことで、実家で肩身の狭かったレオナの境遇にも救いがもたらされています。

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オクタヴィネル寮長の場合

3章の序盤、アズール(と双子のリーチ兄弟)に対して向けられていた生徒たちからのヘイトは相当なものだったと思います。アズールは詐欺まがいの契約で大勢の生徒たちからユニーク魔法を取り上げ、自らの経営するモストロ・ラウンジで奴隷のようにコキ使い、学園長までも抱き込んで私利私欲を満たしていました。

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しかし監督生とグリム、エース、デュース、そしてジャックらの活躍とサバナクロー寮生たちの協力でアズールを追い詰め、レオナが「黄金の契約書」を全て砂にしてしまったことでアズールは完全に殴り返されて、彼と奴隷契約を結ばされた生徒たちは解放されました。

当然、この流れだけでは生徒たちからアズールに向けられていたヘイトまでも無くなったとは考えられないのですが、3章のラストシーンでモストロ・ラウンジの『ポイントカード』の話しが出てきます。

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それは  “ モストロ・ラウンジを利用して一定以上ポイントを貯める ”  ことを対価に、アズールに直接悩みを相談できる(アズールのユニーク魔法でサポートしてもらえる)というもの。

つまり、利用者はポイントさえ貯めればノーリスクでアズールと契約しテスト対策などの望みをなんでも叶えてもらえ、アズールたちにとってはモストロ・ラウンジの客足が伸びるという、win-winの関係を築いたというわけなんですね。これは非常に上手いなと思いました。

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このポイントカード制を導入してからモストロ・ラウンジは混雑するようになり、三倍もの売り上げが見込めそうだといいます。つまり「アズールのテスト対策ノートはすごい」とか「アズールに相談すれば願いを叶えてくれる」みたいな評判そのものは健在で、それがこれまでの理不尽な契約によってではない、至極健全なやりとりに昇華されたことが示唆されているのです。

アズールが自分を馬鹿にした奴らを見返したい一心でコツコツと集めた黄金の契約書は無残にも砂になり、彼は  “ 万能の魔法コレクション ”  を失ってしまいました。しかし、このモストロ・ラウンジを経営しながら生徒たちの願いを叶えていくことで、アズールに向けられていた学園内のヘイトはいずれ薄れていくことでしょう。

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現在配信されている中で最もストーリーの出来栄えが良かったのは3章のオクタヴィネルだと個人的には思います。最初は余裕の表情だったアズールがボロを出していく流れも、声優さんの絶妙に上手な演技もあってか、むしろ「いきなり口調が変わったりして  “素が出る ”  感じがイイ!」と好印象の方に捉えたファンは少なからずいると思います。(当ブログもです)

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4章になると彼らが味方側として存分に活躍してくれるのもサービス精神旺盛です。前時代的なスパルタの合宿で寮生たちを疲弊させるスカラビアのやり方(ジャミルの策謀)を休息や栄養管理なども含め効率よく体系化された近代的なトレーニング方法でぶん殴り、合宿の流れをあれよという間に好転させていく流れはカタルシス以外のなにものでもないでしょう。

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ただし、その影で4章のメインであるジャミルがずっと殴られ続けているという事実は到底見過ごせません。最後は全世界に晒されたことでむしろジャミルが開き直り、それまでは自分で自分を殺してきた彼の能力をアズールが存分に高く買ってあげ、そのアズールからの誘いをジャミルが断固拒否することでなんとかイーブンに持っていく…という力技で丸く収めました。

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余談 : 4章でのアズールのもくろみ

おそらく4章でアズールが監督生たちに対してやけに協力的だったのは、スカラビアのジャミルを自分の手駒としてオクタヴィネルへ引き込むのが目的だったのかなと思いました。

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↑ まあ悪巧みをしていそうな、この表情である。

まずジェイドの能力で当たりをつけ、ジャミルが自信満々でユニーク魔法をかけてきた所をフロイドの能力で空振りさせ、3人がかりでジャミルを追い詰めて、例のライブ配信によって自尊心をズタズタに破壊しつつ社会的に破滅させ(このライブ配信がアジーム家の目にとまればバイパー家の処分は免れない)信用も居場所も家族も何もかも奪ってから手を差し伸べる……ここまでがアズールの計画の全貌だった。

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しかし、意外にもジャミルが開き直ってしまい、差し伸べた手は突っぱねられ、アズールの計画は失敗に終わった。最後の最後にきてようやく、ジャミルは  “ 砂漠の魔術師 ”  ジャファーのごとくペテン師を追い返したのです。本当ならここまでをハッキリとプレイヤー側に提示しながら描いて、ようやくイーブンくらいだと思います。

 

まとめ

4章の展開は同じボスとのバトルが二回あったりと変則的で、ゲームとしては非常に楽しめたものの、個々のキャラクターに対する扱いの面では少しだけ偏りを感じたのも正直なところです。悪事を働いたり問題を起こしていた他の寮長たちは3発殴られて済んだところを、ジャミルだけ合計10発くらい殴られた(は言い過ぎか…?)うえ、カリムにも流れ弾が当たったみたいな感じ。

前章で敵だったり問題行動を起こしていたキャラクターは、次の章では味方側で登場して主人公たちを助けてくれる…というこれまでの流れ的に、次はスカラビアが味方だよな?という期待を持って、次回の配信を楽しみにしています!

 

 

ジャミルがオーバーブロットした本当の理由? 2021.9 追記

オーバーブロットは、シナリオの核心であるそのキャラのトラウマ・地雷・あるいはフラストレーションの発露としての側面があると思います。

ジャミルのフラストレーションは「自分の能力を発揮する機会を奪われ、自由を奪われ、人生を阻まれ続けてきた」こと。であれば、彼がオーバーブロットした理由の根底には当然そのフラストレーションがあり、主人であるカリムを学園から追い出そうとした理由にも密接に絡んできます。 

一方で、シナリオの流れとしては彼がオーバーブロットした直接の  “ きっかけ ”  は異なる……というか、すこし分かりにくい所にあります。彼は「自由になる・一番になる」ために練りに練ったであろう策謀をライブ配信で暴かれてしまい、本当の自分は能力ある人間だ、一番になれる人間だ、それを実現して自由になる(だからカリムを追い出す)というプライドをズタズタに引き裂かれ、またしても人生を阻まれ、地雷を踏み抜かれました。これが  “ きっかけ ” となって、彼のフラストレーションは爆発、オーバーブロットしてしまいます。真の理由とかはなく、そういう流れであるだけです。

当初、この流れ自体はごく自然なものでした。しかし、5章シナリオで新たな事実が発覚したことで状況は一転します。

ライブ配信は嘘。実はハッタリだった。

もちろんジャミルの家族が路頭に迷わず済んでいたことは良かった。しかし、ジャミルはオクタヴィネル3人組の計略にまんまと騙されてしまった、オーバーブロットさせられてしまった……という印象がより強まる流れになったわけです。もちろんこれはあくまで  “ きっかけ ”  の話しであって、根本的な理由であるジャミルの抱えてきたフラストレーションは変わりません。しかし脚本の仕事としてはちょっと大味。

(加えて、アズールの狙いも分かりづらいものになっています。ジャミルを仲間に引き込むためであれば、わざわざ手心を加えてハッタリを演出したりなどせず、本当にライブ配信すれば済む話しだからです。そうやって社会的な後ろ盾を奪った方がより簡単にジャミルを仲間に引き込めたはずです。どちらにしろジャミルが開き直ってアズールの目論みは失敗していたとは思いますが……)

良く解釈すれば、自分をさらけ出し開き直って「ドッカーーン」するきっかけをアズールが与えてくれたと取ることも、もちろんできます。やはりアズールはジャミルにとってランプの魔人であったのだと。
しかし、この流れを最初から想定してシナリオを描いていたのであれば、ライブ配信じつは嘘でしたのネタばらしは4章のラストに描かれていたはずなのです。(タイミングとしては多分、砂漠のオアシスでパーティーしてる辺り)

4章のシナリオを読み終えたとき、スッキリしましたか? ああそうだったのかと膝を打ち、シナリオに納得しましたでしょうか? おそらく、そういう読後感を持ったユーザーはあまり多くなかったはずです。

だってこの時点では、ジャミルの卑劣な策謀と破滅的な失策は全世界に向けて(当然、アジーム家にも)暴露されてしまったとユーザーは思っているわけですから、その後始末をいったいどう付けるんだ、ジャミルの家族はどうなるんだ? ジャミル本人の処遇は? もう疑問だらけの状態であの和やかなラストシーンを迎え、4章は終了しているわけです。

そして、次なる5章で発覚したライブ配信の嘘によって『世界中に明かされちまった秘密なんて、弱みでもなんでもないだろ』というオチが、オチとして弱くなっています。(理屈でいえば、世界中に明かされていない秘密はジャミルにとって弱みになり得る)

これは構成のミスであるか、「ライブ配信は実は嘘だったことにしよう」と5章で後付けされたものであると、考えざるを得ないと思います。


ジャミルがオーバーブロットした理由(きっかけ)とカリムを追い出そうとした理由は微妙に異なるものでありそれぞれに意味が通っているのだとしても、4章の(章単体としての)このシナリオはこれで良いんだ、として納得感を得るのはいささか無理があると当ブログは考えています。

(ただし、この後の5章あたりからジャミルとカリムの関係は徐々に修復されお互い向き合う流れになっており、だんだんと成長も描かれ、2021年9月現在において公開されているシナリオも含めた全体のストーリーとしてはとても良いものになっていると思います。と付け加えさせてください……!)

 

 

おわり

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