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ブラマジ本体の攻撃力は200とかいう暴論に対するマジレス【遊戯王 OCG 考察】

 

この記事は、ひと昔前に流行った「ブラック・マジシャン本体のステータスは攻撃力200しかない」といういわゆるファンの間での俗説に関する記事なので、遊戯王の原作コミックスやアニメ、遊戯王公式オフィシャルカードゲーム(OCG)の公式設定や世界観とは一切関係がありません。ご了承ください。

 

 


1.モンスターではない!装備カードだ??!

 

「ブラック・マジシャン本体のステータスは攻撃力200しかないことが判明」

 

いや…もちろんそこは冗談というかジョークなので、ファンがそういう俗説を言ってふつうに笑い合ってる分には楽しいし面白いと思いますけど(なんなら自分も一緒になって笑ってましたけど)、なにかバカにした感じで「ブラマジ本体のステは攻撃力200とかいう雑魚だったことが判明www」とかやっているのを見ると真顔になってしまうという話しなんですよね…。

なんかもはや軽くディスりに行ってません??人それぞれの感じ方みたいな話しにはなりますけど、自分はそういうのあんまり気味が良いとは思わないです。

この手の話しは遊戯王の原作コミックスやアニメしか馴染みがない人にとってはマジでまったく意味不明だと思うので、この先は一応解説しながら進めます。

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(©︎高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社 Konami Digital Entertainment

上に引用した画像は、コナミが製作販売している「遊⭐︎戯⭐︎王オフィシャルカードゲーム(以下、OCG)」の『マジシャンズ・ロッド』『マジシャンズ・ローブ』という下級モンスターカードです。武藤遊戯のエースモンスター『ブラック・マジシャン 』のサポートカード(※)ですね。右にそれぞれの元ネタと思われるカードイラストを並べてあります。
(※特定のカード(ここではブラック・マジシャン ) と組み合わせて使うことを前提とした、デッキの戦術を補佐するカード)


もう見ての通りというか、この下級モンスターたちのカードイラストのデザインが "使い回し" であることは火を見るより明らかだと思います。なので当然こいつらの見た目はブラック・マジシャンのロッドやローブと全く同じデザインなわけです。


ここで『マジシャンズ・ロッド』と『マジシャンズ・ローブ』のステータスに注目。


《マジシャンズ・ロッド》
攻撃力 1600
守備力 100


《マジシャンズローブ》
攻撃力 700
守備力 2000


この2体の下級モンスターたちの攻撃力・守備力をそれぞれ足し合わせます。


攻撃力 1600+700=  2300
守備力 100+2000=  2100


つまりこれらを本体から差し引いた分が、ブラック・マジシャン(ロッドとローブを身に付けていない状態)の素のステータスである、というわけ。


《ブラック・マジシャン》
攻撃力 2500ー2300= 200
守備力 2100ー2100= 0

 

ブラック・マジシャンのステータスがロッドとローブをほぼ足し合わせたような値になってるのが笑いどころなんですよね〜。


べつに他意なく面白ネタとしてイジリたい人たちの他、ブラック・マジシャンをちょっと小馬鹿にしたい人たちにとっても、この嘲笑的なニュアンスを多分に含んだ俗説はたいへん香ばしいものであったようです。


ぶっちゃけ言うと、そもそも新たにカードイラストのデザインを起こす気が無いから既存カードのイラスト・デザインをクソテキトーに使い回して "見たまんま" のカード名をくっ付けて済ませた。それ以上でも以下でもない。そう捉えておくのが文脈的には自然です。まあ公式側はシャレのつもりでなんかそんなステータスにしたんでしょうけどね。

 

ちなみに、同じパックに収録された『黒の魔導陣』はブラック・マジシャンの背景にいつも描かれている魔法陣の完全な使い回しです。もうブラック・マジシャン本体のロッド、ローブ、背景をそのまま流用しただけの見事なやっつけ仕事。


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(©︎高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社 Konami Digital Entertainment

救いなのは、この時期に追加されたカードは今でも3枚必須でブラック・マジシャンデッキに採用されるものが多く、性能は高めであることですね!

少し脱線してしまったので次で話を戻します。

 

 


2.守護神官マハードのステータスはブラック・マジシャンと同じ(攻撃力2500、守備力2100)


『守護神官マハード』は、劇場版THE DARK SIDE OF DIMENTIONS(以下、映画DSOD)の公開に合わせて作られたプロモーションカードです。このカードの元ネタが原作コミックスのファラオ(アテム)に仕えた「神官マハード」というキャラクターであることは、原作やアニメを知っている人なら容易に連想できると思います。

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(©︎高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社 Konami Digital Entertainment

原作コミックスにおいて、ブラック・マジシャンというキャラクターは「神官マハード」の魂と精霊(幻想の魔術師)が融合したことで生まれた存在であることが描かれています。(より正確には、古代エジプト人が現代に遺した石板に描かれた "神官マハードの魂と精霊の融合体" の姿を見たペガサス・J・クロフォードが、それを元にブラック・マジシャンというカードをデザインし、M&Wというカードゲームのモンスターカードとした、という設定。コナミのOCGはこのM&Wを元に作られている。)

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(©︎高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社

OCGの『守護神官マハード』は戦闘や効果で破壊されると『ブラック・マジシャン』を特殊召喚するモンスター効果を持ちます。これは原作コミックスで神官マハードが自らの生命を生贄に捧げブラック・マジシャンに生まれ変わるというシナリオを、OCGカードの効果として再現したものでしょう。


映画DSODのクライマックスでアテム=闇遊戯が召喚したモンスターが守護神官マハードだったという演出からも、このカードのキャラクターが  “ 闇遊戯のエースモンスターであるブラック・マジシャン ”  とほとんど同一視できる存在であることは明らかだと思います。(表遊戯が使っている、デザインの全く異なる黒いブラック・マジシャンのカードがイコールマハードなのかは詳細不明であり、議論の分かれるところです)


さて、ここでOCGカードである『守護神官マハード』のステータスに注目。


《守護神官マハード》
攻撃力 2500
守備力 2100


例のロッドやローブやらを一切身につけている様子もない『守護神官マハード』は『ブラック・マジシャン』と全く同じステータスを持ちます。

このカードが出てきたことによって、ブラック・マジシャン本体のステータスは攻撃力200しかないという俗説は一蹴されてしまいました。(マジレス)

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(©︎高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社

この『守護神官マハード』というOCGカードはブラック・マジシャンデッキとの噛み合わせをまったく考慮されておらず、3枚必須で採用されるようなカードでは決してありません。


同じく映画DSOD用プロモカードの『青眼の亜白龍』はフィールド・墓地でしっかり青眼の白龍扱いとなり当時の青眼デッキを環境トップへと押し上げた一因であるほどの高い性能を持つのに対し、『守護神官マハード』はフィールドですらブラック・マジシャン扱いにならず、わざわざ光属性にされたことによって『ブラック・マジシャン』とサポートカードを一切共有できない("このカードはルール上、闇属性としても扱う" の文言とか付けてくれない)しかもカードイラストは高橋和希のデザインではない?という、ここでも露骨な差別待遇を受けていますが、おそらく公式が意図しなかった部分で、このカードはある意義を持っていたように思います。


つまり『ブラック・マジシャン』と全く同じステータスを持つ『守護神官マハード』の登場によって、『マジシャンズ・ロッド』や『マジシャンズ・ローブ』といった下級モンスターたちのステータスは『ブラック・マジシャン』(=マハード)の力の残滓のようなものであることが判明したわけです。

 

まあぶっちゃけそこまで大騒ぎするほどの話題ではないので、そういうジョークもあるんだねくらいに捉えておくのが正解でしょう!

 

おわり