やたら細かい感想・考察サイト

漫画、アニメ、映画大好きな管理人によるレビューや考察。

「ロック・リーってどっちが苗字??」NARUTOで考察、中華風キャラの名前の謎。

 


 アニメやマンガに出てくる中華風キャラの名前は「シャオ××」や「⚫︎⚫︎リー」といった古典的なものが大半ながら、どれが姓でどれが名なのか、たまに紛らわしいことがあります!!

 キャラクターの名前は、やはり響きのカッコ良さや覚えやすさが重要ですよね。実在する有名人の名前をもじってあるケース以外、多くは中華っぽい名前(日本人読者に"中国人"あるいは"中華風"のキャラだと認識してもらいやすい名前)として名付けているので、必ずしも現実の名前の法則には当てはまらないかもしれません。

 その辺りも踏まえつつ・・・

 今回はとくに紛らわしいということで俺の中で話題となったNARUTOのキャラ達を例にあげ、現実の中華圏の人名を参考にしつつ、中華風キャラの名前について考察してみたいと思います。

 

 

 

中華風キャラの名前がまぎらわしいワケ

 現実世界において、中華圏の人の名前は「 苗字 + 名 」の順に表記します。日本人の名前と同じです。

 しかし、ブルース・リー」「ジャッキー・チェン」「テレサ・テン」「ビビアン・スー」「アグネス・チャン」のような名前は、姓名の順番が逆なのです。

 

 いったい、なぜなのか???

 

 というのも、これらは西欧風の名前を名乗っているからなのです。なので、姓名の表記順は西欧の様式に従って逆転しています。「ブルース(西欧風の)」「リー(苗字)」という構成です。ジェームズ・ボンドとかと同じです。(世間的には常識なのかもしれないけど、私はそんなこと意識したこともなかった・・・)

  一方で、ブルース・リーの中華圏での芸名は李小龍(リー・シャオロン)」。こちらはふつうに「 苗字 + 名 」の順で表記します。ややこしいですね。

 マンガやアニメに出てくる中華風キャラクターの姓名の表記順は、当然ながら ↑ の両方のパターンが混在しています。

孫悟空 / ドラゴンボール → 苗字 + 名(苗字が一字、名が二字)

◆道蓮 / シャーマンキング → 苗字 + 名(苗字と名前が一字ずつ)

春麗ストリートファイター2 → 名のみ(名前が二字)

◆リナリー・リー / Dグレイマン → 名 + 苗字

◆ホァン・パオリン / TIGER&BUNNY → 苗字 + 名

ロック・リー / NARUTO → ???

 

 で、、、肝心のロック・リーがどうなのかというと、、、、、

 まずロック・リーというネーミングがそもそもブルース・リーのもじりなので、元ネタに合わせるならロックが名前、リーが苗字、、、ということになると思われます。

 ↓ ブルース・リーロック・リー

f:id:rootm:20160513010831j:plain

 

 

 ロック・リーって、苗字そっち?!?!(日本人読者一同)

 もともと海外のファンはロック・リーのことをもっぱら「ロック」と呼ぶので、そこに違和感を覚えた日本人ファンも多かったと思います。

 北米版NARUTOではキャラの名前の表記が「NARUTO UZUMAKI」のように欧米流になっていることが多いのですが、ロック・リーはそのまま「ROCK LEE」だったので、ある意味当然です。

 「LI ROKKU」とかにしてしまうと、ブルース・リーのパロディキャラであることを北米の読者に分かってもらえなので、そうせざるを得なかったんだと思います。
(私はそもそも、UZUMAKI  NARUTO と日本式に表記して「そういう世界観です!」と突っ張らないところに少しだけ違和感を感じてしまうのですが、、、)

 日本人読者の視点からすると、順当にいって「うずまきナルトはナルト、春野サクラはサクラ、ロック・リーはリーってみんなから呼ばれてんだからリーが名前だろうとなります。作品の設定や周りの状況から判断して空気を読まないと、不自然な感じがしてしまうのです。

 実際、作中で血筋を強調する時にあえて「うちは」や「日向」という呼び方をすることはあっても、それが単純に個人を指して呼ばれたケースはほぼ皆無でした。

 

 マイト・ガイ先生の父親の名前が「マイト・ダイ」だと判明したことで、この   "ロック・リーの苗字はどっちだ"  論争は一応の決着を迎えたかに思われたのですが、、、、、

 映画『BORUTO』で「メタル・リー」が出てきたおかげで、ロック・リーの苗字は「リー」ということでほとんど確定の流れになってしまいました。

 現在の本国版NARUTOでは、リー親子だけ名前が欧米式で表記順が逆?という謎の事態におちいっています。

 

 先述のようにロック・リーはみんなから「リー」と呼ばれているので、おそらく作者も「リー」の方が名前だと最初は認識していたことと思います。

 (そういえば単行本の何巻か忘れたけど、読者からオリジナルキャラを募る企画で「ロック・~~」というロック・リーの親戚という設定のキャラが掲載されていたっけなあ、、、)

 要は単純に考えて、ただ単に「ブルース・リー  →  ロック・リー  →  メタル・リー」というダジャレというか、音楽ジャンルに引っかけた名前ネタなのです。もともと深い意味はなく、しかも、ロック(岩、岩石)→メタル(金属、合金)となって石器時代から近代へ進化しています!

 

 原作者の岸本斉史先生が、単にこういうダブルミーニングみたいなの好きなんじゃね?!!(たぶん)

 

結論:

 岸本先生にとっては「リー」と呼ばせていたのは他のキャラに合わせた結果であり、どちらが名前であっても元々こだわりはないのかもしれません。

 

 

「テンテン」に苗字はあるのか?

 あくまで現実世界における名前の法則なのでNARUTOのテンテンがそうかは分かりませんが、こういった "音を繰り返す名前"(リンリンとかレイレイとか) には4通りのパターンが考えられます。

 適当な名前を例に出しながら考察してみます。

例1:
 苗字が「鄧(テン)」、名前が「甜(テン)」で、「鄧甜(テンテン)」さんというフルネームである場合。

 苗字が「李(リー)」、名前が「力(リー)」でフルネームが「李力(リーリー)」さんなどもありえます。

 中国人はお互いをフルネームで呼び合うことも普通なので、苗字を含めての音の響きを重視して名前をつけます。


例2:
 名前そのものが「甜甜(テンテン)」さんや「力力(リーリー)」さんなどである場合。ここに苗字は含まれません。日本の名前でいう美智子さんとか裕仁さんなどと同じで、そういう名前です。

 音を繰り返す名前は可愛らしいイメージがあり、幼名や女性の名前に多いです。


 例3:
 名前が「瑞甜(ルェイテン)」さんなどで、そこから一文字とって繰り返し「甜甜(テンテン)」という愛称になった場合。「文莉(ウェンリー)」さんなら「莉莉(リーリー)」という具合に。

 中国では初対面でふつうに愛称(通称)を名乗る人も多く、日本のあだ名の感覚とは少し違います。

例4:
名前が「甜(テン)」さんや「力(リー)」さんなど一字の名前で、これを繰り返して「甜甜(テンテン)」や「力力(リーリー)」という愛称になった場合。

 パスポートなどの登録は「甜甜(テンテン)」だけど戸籍上は「甜(テン)」というように適当であることもしばしば。

 

 中国では、相手の名前や苗字を一字のみで呼ぶことは基本的にしません。

 苗字や名前がもともと一字のみの人をどうやって呼ぶかというと、フルネームで呼ぶ、音を繰り返すなど愛称化して呼ぶ、「小(シャオ)」や「老(ラオ)」をくっつけて呼ぶ、まったく関係ないあだ名(通称)で呼ぶ等々、その人との間柄や親密度によっていくつかバリエーションがあります。

 

結論
「テンテン」はそういうフルネーム、もしくは、もしくは通称かも。

 

 

「 リー 」 の中華風愛称について

  NARUTO公式とは全く関係ない話ですが、アニメの中国語字幕でガイ先生がロック・リーのことを「小李(シャオリー)」と呼んでいたのには大変萌えました。この訳者さんは、ロック・リーの苗字は「リー」の方だと解釈されていますね(「李」は姓の字なので)。

 中国では親しい友人や部下など気さくな間柄では、年上者が年下を呼ぶさいに、「小(シャオ)」をつけることがあります。名前と苗字、どちらにつけてもOK。

 ジャッキー・チェン主演の映画『ベストキッド』では、師匠のハンさんが主人公ドレのことを「シャオドレ」と呼んでいましたね!

 

 

メタル・リーってどう名前を呼んだらいいのか、、、?

 映画『BORUTO』の新キャラクターが発表された当初、ロック・リーの息子とされるメタル・リーの名前の呼び方ロック・リーはリーで、メタル・リーはメタル、なのか、、、???)で多くのファンが戸惑っていました。

 個人的な妄想としては、ふつうに「リー」「小リー(シャオリー)とかでいいんじゃないか的なことはチラッと頭をよぎったものの、、、、、

 日本人の感覚からすると「シャオリー」というのは響きがもはや別モノだし、なんだか音感が "華奢" すぎていまいちイメージが湧かない気もするので、難しいところです。ただ、小(シャオ)は苗字にも名にも付けられる愛称なので、どっちが苗字なのかボヤかしたままでリー親子を呼び分けることは、一応できます。

 とりあえず、、、順当にいって、ロック・リーは今まで通り「リー」、メタル・リーはふつうに「メタル」、、、とか呼ばせるしかないような気がします。

 

 

その他雑記

 ロック・リーの元ネタがブルース・リーであるように、おそらくテンテンの元ネタは、かつて一世を風靡したTVシリーズ『幽幻道士(キョンシーズ)』の美少女ヒロイン、テンテンからのもじりと思われます。両者ともにただそういう名前というだけで、やっぱりとくに深い意味はないと思われます。

↓ 日本中の小学生男子を虜にした台湾美少女テンテンと、NARUTOのテンテン

f:id:rootm:20160513222255j:plain

 

 

 ちなみに、ブルース・リーテレサ・テンのような名前が特別かというと、そんなことはないです。中国や香港、台湾では、芸能人だけでなく一般の人であっても気軽に「西欧風の名前」を通称として使うことがあります。理由は「発音が難しい」「外国の人に覚えてもらうため」「かっこいいから」などで、親がつけた戸籍上の名前とは別に本人が勝手に名乗っているケースが大半です。日本のあだ名の感覚とは違い、彼らはビジネスシーンや初対面同士でもふつうに通称の方を名乗ります。

 また、1つの名前だけでフルネームとか、名前をいくつも並べたものがフルネームとかで、「苗字の概念がない」民族は世界に沢山存在します。対外的に苗字を名乗る必要がある場合には、「父親の名前を自分の名前の後ろに並べて苗字の代用」とする文化もあります。ちょっと例えが強引ですが、「リーさんの息子だからメタル・リー」みたいな感じです。

 我愛羅とかテマリとかカンクロウとか砂隠れの忍は名前しか出てこないので、たぶん風の国の人達は1つの名前しか持たず、苗字の概念がない設定なのかな?と思いました。

 

おわり